この記事でできること

社外(自宅や外出先)のパソコンから、会社の Synology NAS(ネットワーク上の共有ファイル置き場)のフォルダを開けるようにします。

Synology Drive Client というソフトを使うと、VPN(社外から社内ネットワークにつなぐための仕組み)を使わなくても、NAS のフォルダがエクスプローラーにそのまま表示されます。

ステップ1 は NAS の管理者が行う作業です。ステップ2 以降は、使う人が自分のパソコンで行います。

事前に準備するもの

  • NAS に接続するためのユーザー名とパスワード(管理者から受け取ります)
  • 接続先のアドレス(管理者から受け取ります。「〇〇〇.synology.me」のような形か、英数字の QuickConnect ID です)
  • インターネットにつながるパソコン

ステップ1 NAS 側で必要な設定の確認(管理者向け)

NAS の管理画面(DSM)で、社外からの接続を受け付ける設定になっているかを確認します。

◆ Synology Drive Server が入っているか

Synology Drive Client を使うには、NAS 側に「Synology Drive Server」というソフトが入っている必要があります。

  1. 管理者のアカウントで DSM にログインします
  2. 「パッケージ センター」を開きます
  3. 上の検索欄に「drive」と入力します
  4. 「Synology Drive Server」を探します
  5. 「インストール」と表示されていたら、まだ入っていません。「インストール」を押して入れてください(「開く」と表示されていれば、すでに入っています)
パッケージ センターで Synology Drive Server を探したところ
パッケージ センターで Synology Drive Server を探したところ

◆ 社外から接続する入口が有効になっているか

  1. 「コントロール パネル」を開きます
  2. 左のメニューから「外部アクセス」を選びます
  3. 「QuickConnect」タブを開きます
  4. 「QuickConnect を有効にする」にチェックが入っていることを確認します
  5. 「QuickConnect ID」に表示されている文字列を控えます(利用者に伝える接続先になります)
コントロール パネルの「外部アクセス」→「QuickConnect」タブ
コントロール パネルの「外部アクセス」→「QuickConnect」タブ

接続先を「〇〇〇.synology.me」のようなアドレス(DDNS)で案内する場合は、同じ画面の「DDNS」タブでそのアドレスが登録され、「ステータス」が「正常」になっていることを確認します。

「DDNS」タブ。登録したアドレスの「ステータス」が「正常」になっている
「DDNS」タブ。登録したアドレスの「ステータス」が「正常」になっている

◆ Synology Drive からの接続を許可しているか

ここにチェックが入っていないと、ほかの設定が正しくても Synology Drive Client からは接続できません。

  1. 「QuickConnect」タブの下にある「詳細設定」ボタンを押します
  2. 「アプリケーション/サービス」の一覧で、「Synology Drive Server(デスクトップ ユーティリティと…)」にチェックが入っていることを確認します
  3. 同じ画面の「QuickConnect 中継サービスを有効にする」にもチェックが入っていることを確認します
  4. 「適用」を押します
「詳細設定」の画面。「Synology Drive Server」にチェックが入っている
「詳細設定」の画面。「Synology Drive Server」にチェックが入っている

「QuickConnect 中継サービス」は、NAS に直接つながらない場所から接続するときの予備の経路です。外すと、そうした場所からはまったく接続できなくなるため、原則としてチェックを入れたままにします。

◆ ルーターの「ポート」が開いているか

多くの場合、ここまでの設定だけで接続できます。ただし、環境によってはルーターの「ポート」を開ける作業が必要になります。

ポートとは、ルーターが外からの通信を受け入れるための「通り道の番号」です。社外からの通信は、まず会社のルーターに届きます。ルーターが「この番号の通信は NAS に回す」と知らないと、通信はそこで止まってしまいます。

Synology Drive Client が使う番号は 6690 番です。次のような場合は、6690 番を開けて NAS に回す設定(ポート転送)が必要です。

  • 接続先を「〇〇〇.synology.me」のようなアドレス(DDNS)で案内する場合
  • QuickConnect ID で接続はできるが、極端に遅い場合(直接つながらず、Synology の中継サーバーを経由しているためです)
  • 社外から接続しようとすると、アドレスが見つからない、または時間切れになる場合

ルーターを別の会社が管理している場合
中小企業では、ルーターの設定を回線業者やネットワーク業者、ビルの管理会社などが管理していることがよくあります。その場合は、自社でルーターを触らず、管理している会社に依頼してください。依頼するときは、次のように伝えるとスムーズです。

  • 「社外から NAS に接続するため、TCP の 6690 番を、NAS(社内の IP アドレス:〇〇〇)に転送してください」
  • 「スマートフォンのアプリからも使う場合は、TCP の 5001 番も同じく転送してください」

自社でルーターを管理している場合(おおまかな手順)
ルーターの機種によって画面や名前が違うため、細かい操作は取扱説明書を確認してください。流れはおおむね次のとおりです。

  1. NAS の社内での IP アドレスが変わらないように固定します(変わると、転送先がずれて接続できなくなります)
  2. ブラウザからルーターの管理画面にログインします
  3. 「ポート転送」「ポートマッピング」「静的 IP マスカレード」「NAT」などの名前のメニューを開きます(機種によって呼び方が違います)
  4. 新しい設定を追加します
  5. 通信の種類に「TCP」、番号に「6690」を指定します
  6. 転送先に NAS の社内の IP アドレスを指定します
  7. 設定を保存します
  8. 社外(スマートフォンのテザリングなど、会社以外の回線)から接続できるか確かめます

補足
・DSM の「外部アクセス」→「ルーター の設定」タブは、自動設定(UPnP)に対応したルーターでないと何も表示されません。ここが空でも「ポートが開いていない」とは限りません。ルーター側で手動設定した転送は、この画面には出ないためです
・業務用のネットワークで自動設定(UPnP)を有効にするのは、安全のためおすすめしません。転送はルーターの管理画面で手動で設定してください
・開けるポートは必要なものだけにしてください。開けるほど、外から届く入口が増えます

◆ 2段階認証を必ず有効にする

社外から接続できるようにすると、インターネット上から NAS のログイン画面に届くようになります。パスワードだけに頼らないよう、2段階認証(パスワードに加えて、スマートフォンのアプリに表示される確認コードを入力する仕組み)を有効にしてください。特に管理者のアカウントは必須です。

ステップ2 パソコンに Synology Drive Client をインストールする

  1. Synology の公式サイトの「ダウンロード センター」(https://www.synology.com/ja-jp/support/download)を開きます
  2. お使いの NAS の機種を選びます(例:DS224+。機種名は管理者に確認してください)
  3. 「OS バージョン」は、NAS の DSM に合わせたものを選びます(分からなければ表示されたままで構いません)
  4. 「デスクトップ ユーティリティ」タブを開きます
  5. 「Synology Drive Client」の「ダウンロード」を押します
  6. Windows 版を選んでダウンロードします
  7. ダウンロードしたファイルをダブルクリックします
  8. 画面の案内に沿ってインストールします。途中の設定はすべて初期値のままで問題ありません
ダウンロード センターの「デスクトップ ユーティリティ」タブ
ダウンロード センターの「デスクトップ ユーティリティ」タブ

ステップ3 接続先を設定する

Synology Drive Client の画面は、スタートメニューから開きます。デスクトップにできるショートカットは、同期しているフォルダを開くためのものです。ダブルクリックしてもフォルダが開くだけで、この設定の画面は開きません。

  1. キーボードの Windows キー(窓のマークのキー)を押すか、画面左下のスタートボタンを押します
  2. 「Synology Drive Client」と入力します
  3. 表示された「Synology Drive Client」をクリックして起動します
  4. 「Synology NAS」の欄に、管理者から受け取った接続先(「〇〇〇.synology.me」または QuickConnect ID)を入力します
  5. 「NAS ログイン ユーザー名」を入力します
  6. 「NAS ログイン パスワード」を入力します
  7. 「次へ」を押します
最初に表示される、接続先・ユーザー名・パスワードを入れる画面
最初に表示される、接続先・ユーザー名・パスワードを入れる画面
  1. 2段階認証が有効な場合は、スマートフォンのアプリに表示された確認コードを入力します
  2. 「セットアップ先のタスクのタイプを選択」の画面で、「同期タスク」を選びます
  3. 「次へ」を押します
「同期タスク」を選ぶ画面
「同期タスク」を選ぶ画面
  1. 「Synology NAS とコンピュータ間で同期するフォルダを選択」の画面が表示されます
  2. 「Synology NAS」の欄の右にある「編集」を押します
同期するフォルダを選ぶ画面
同期するフォルダを選ぶ画面

「編集」を押してもフォルダを選ぶ画面が開かないことがあります。その場合は少し待ってから、もう一度「編集」を押してください。2〜3回押すと開くことがあります。

  1. 「チーム フォルダ」の中から、使うフォルダを選びます
  2. 「OK」を押します
NAS 側のフォルダを選ぶ画面(「チーム フォルダ」の中から選ぶ)
NAS 側のフォルダを選ぶ画面(「チーム フォルダ」の中から選ぶ)
  1. 「コンピュータ」の欄は、パソコン側で表示させる場所です。特に指定がなければそのままで構いません
  2. 「完了」を押します

完了すると、エクスプローラーの左側に「Synology Drive」が表示されます。ここから NAS のフォルダを開けます。

エクスプローラーの左側に「Synology Drive」が表示されたところ
エクスプローラーの左側に「Synology Drive」が表示されたところ

ステップ4 同期のしかたを選ぶ

Synology Drive には、ファイルをパソコンに持つ量によって使い方が 2 つあります。ここを選ぶことで、パソコンの空き容量と開く速さのバランスが決まります。

◆ おすすめ:オンデマンド同期(必要なときだけ取りに行く)

パソコンにはファイルの名前だけが置かれ、中身は NAS に残ります。ファイルを開いたときにだけ、中身がダウンロードされます。OneDrive と同じ仕組みです。

  • パソコンの容量をほとんど使いません
  • 最初の同期を待つ必要がありません
  • エクスプローラーの「状態」の列に雲のマークが付いているファイルは、まだ中身がパソコンにない状態です

初期設定でオンデマンド同期になっています。念のため、次の手順で確認してください。

  1. Windows キーを押し、「Synology Drive Client」と入力して起動します(デスクトップのショートカットからは開きません)
  2. 左のメニューの「同期タスク」を選びます
  3. 一覧から対象の同期タスクを選びます
  4. 上の「同期ルール」を押します
Synology Drive Client の「同期タスク」の画面
Synology Drive Client の「同期タスク」の画面
  1. 「選択的同期の設定」の画面で、「同期モード」タブを開きます
  2. 「オンデマンド同期を有効化してデスク スペースを節約します」にチェックが入っていることを確認します
  3. 「同期方向」は「双方向同期」のままにします
  4. 変更した場合は「適用」を押します
「同期モード」タブ。オンデマンド同期にチェックが入っている
「同期モード」タブ。オンデマンド同期にチェックが入っている

◆ よく使うフォルダだけ、パソコンに常に置いておく

オンデマンド同期のままでも、よく使うフォルダだけは中身をパソコンに置いておけます。そのフォルダはパソコンを起動した直後でも、インターネットにつながっていない場所でも、すぐに開けます。実際の運用ではこの組み合わせが一番使いやすい方法です。

  1. エクスプローラーで Synology Drive を開きます
  2. よく使うフォルダを右クリックします
  3. 「その他のオプションを確認」を押します(Windows 11 の場合。表示されない場合は次へ進みます)
  4. 「Synology Drive」にマウスを合わせます
  5. 「ローカル コピーを永久にピン留め」を選びます
フォルダを右クリックし、「Synology Drive」→「ローカル コピーを永久にピン留め」を選ぶ
フォルダを右クリックし、「Synology Drive」→「ローカル コピーを永久にピン留め」を選びます

「状態」の列の雲のマークは、中身がまだパソコンにないことを表しています。ピン留めしたフォルダは、中身がパソコンに保存されます。やめたいときは、同じメニューの「容量を開放する」を選ぶと、中身が NAS だけに戻ります。

◆ すべてのファイルをパソコンに置く(完全同期)

NAS 上のファイルをすべてパソコンに置いておく方法です。いつでもすぐに開けますが、次の点に注意してください。

  • 対象のフォルダと同じだけの空き容量がパソコンに必要です。NAS のデータが増えると、必要な容量も増えます
  • 最初の同期に長い時間がかかります(回線の速さによっては半日ほどかかることもあります)
  • ノートパソコンでは容量を圧迫しやすいため、空き容量に十分な余裕がある場合を除いておすすめしません

つながらないとき・うまく動かないときの確認

◆ 設定画面が開かない

デスクトップのショートカットは、同期しているフォルダを開くためのものです。設定画面を開くときは、Windows キー(窓のマークのキー)を押して「Synology Drive Client」と入力し、そこから起動してください。

◆ パソコンを起動した直後に「ファイルが存在しません」と表示される

オンデマンド同期では、ファイルの中身は NAS にあります。パソコンを起動した直後は、Synology Drive Client が NAS との接続を終えていないため、名前は見えても中身を取りに行けないことがあります。

  1. 画面右下のタスクトレイ(「^」のマークを押すと開く小さなアイコンの一覧)で、Synology Drive のアイコンにマウスを合わせます
  2. 「最新」と表示されるまで待ちます
  3. もう一度ファイルを開きます
タスクトレイの Synology Drive のアイコン。「最新」と表示されていれば準備完了
タスクトレイの Synology Drive のアイコン。「最新」と表示されていれば準備完了

よく起きる場合は、よく使うフォルダを「ローカル コピーを永久にピン留め」にしてください(ステップ4 を参照)。

◆ エクスプローラーに NAS が 2 つ表示される

これまでの接続方法(VPN などを使った接続)と、新しい Synology Drive の接続が両方表示されている状態です。中身は同じなので、どちらを使っても問題ありません。

◆ 特定のファイルだけ Synology Drive 側に表示されない

Synology Drive には、同期できないファイルがあります。

  • Outlook のデータファイル(.pst)は同期されません。設定では変えられない仕様です
  • ファイル名が 255 文字を超えるもの、保存場所(フォルダの道筋)が 2,048 文字を超えるものは同期されません
  • 書き込む権限のないフォルダは同期されません

.pst ファイルは、これまでの接続方法で開いてください。ただし、NAS 上の .pst ファイルを直接開くと壊れるおそれがあり、Microsoft もおすすめしていません。パソコンにコピーしてから開いてください。

◆ これまでの VPN のほうが、起動直後は速く開ける

不具合ではなく、仕組みの違いです。VPN はつながりさえすれば、ファイルを開いた瞬間に取りに行きます。Synology Drive は、先にソフトの起動と認証が終わる必要があります。急ぐときは VPN、普段は Synology Drive、と使い分けても構いません。

◆ それでもつながらない

次の内容を管理者に伝えてください。

  • 表示された画面とエラーメッセージ(画面の写真があると確実です)
  • 試した日時
  • 試した場所(自宅、外出先など)

管理者の方へ:導入するときのポイント

  • Synology Drive を導入しても、すぐに VPN をやめられるとは限りません。.pst ファイルのように Synology Drive では扱えないファイルがあるため、これまでの接続方法も残しておく前提で考えてください
  • 社外から接続できるようにする以上、2段階認証、推測されにくいパスワード、パソコンの画面ロックはセットで行ってください
  • 全員に展開する前に、まず 1 人に試してもらい、実際に使う場所(自宅、外出先、取引先など)で接続できるか確認してください。場所によっては、ネットワーク側の制限でつながらないことがあります

自社で設定するのが難しいときは

NAS の社外接続は、ルーター・NAS・パソコンの 3 か所の設定がそろって初めて動きます。どこか 1 か所でも違うとつながらず、ゆるく設定しすぎると外から狙われる入口になります。
アップ・フィールド・ブラザーズでは、社内ファイルサーバー(NAS)の構築から、社外からの接続設定、2段階認証などの安全対策までまとめて承っています。「いまある NAS に外からつなぎたい」という段階から、お気軽にご相談ください。